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無題

重たい雪が降る

白く、先が見えなくなる


全てが押しつぶされる



白き先から花が香る

寒さに切られた蕾から


全てが懐かしい



真白な目蓋の裏側で

涙に溶けた記憶が

ゆっくりと鮮やかに蘇る



心、乱れるな

抱きとめたものは、今

古き白を塗り重ねて

まだ見ぬ白を成し始める

# by ryo-ta-n | 2013-01-18 22:58 | 雑記  

無題

全ては気の迷い


飲み干すのが惜しくて

ちびりちびりと

空けたグラス一杯分の夢


全ては酔いの夢の中


干してしまえば声も夢

空けてしまえば姿も幻

残ったのは冷たいグラス


全ては宵の闇の中

# by ryo-ta-n | 2012-11-02 02:03 | 雑記  

無題

遠くで雷が光る
なにも見えなくなっていた夜に
ほんの一瞬だけ
隠れていた全てを呼び起こす
忘れていたこと全てを呼び覚ます

忘れようとして、忘れられず
捨てようとして、捨てきれず
それならばと文字にして夜毎沈めても
結局は、すぐそこ、胸の内に
形を、匂いを、温もりを変えずに
ただただあり続ける

夏が止まる
雨の中で全てを浮かび上がらせて

# by ryo-ta-n | 2012-09-12 02:11 | 雑記  

無題


虚ろな昔に色めいた

牡丹
音もなく煙草の煙の中で開いた

松葉
闇の中で裸の僕を突き刺した


寄りかかれないくらいに不確かだった

散り菊
小さな熱い灯りが落ちた


線香花火が忘れられない

鬼火と罵られたとしても、愛おしい華

# by ryo-ta-n | 2012-08-27 23:45 | 雑記  

無題

記憶の海を
懐かしさを載せた船が滑る

鏡のように凪いだ過去に送られ
次の海へと滑る

そっと背を押されて
振り向かなくても
そこにいてくれたことを感じながら

また一人きりの船が滑り始める

# by ryo-ta-n | 2012-05-30 01:56