無題
僕は注射針を橈骨動脈に刺した。
皮膚を針が貫く、痛い。
皮下組織の中を針が進んでいく、疼く。
ブチブチと結合組織が切り裂かれる音が腕の奥から聞こえる。
針先が血管壁を貫いた。
鼓動に合わせて血液が針の内腔を通して吹き出る。
真っ赤な、温かい、僕の体を満たしているもの。
ああ、僕はまだ生きているんだ。
心が吐き出せなかった「なにか」を腕から勢い良く溢れさせながら。
浴室の白い壁が、着ていた白いシャツが、彼岸花のような燃える赤に染まるのを見ながら。
無機質に僕の右手は、左の手首から針を引き抜いた。
皮膚を針が貫く、痛い。
皮下組織の中を針が進んでいく、疼く。
ブチブチと結合組織が切り裂かれる音が腕の奥から聞こえる。
針先が血管壁を貫いた。
鼓動に合わせて血液が針の内腔を通して吹き出る。
真っ赤な、温かい、僕の体を満たしているもの。
ああ、僕はまだ生きているんだ。
心が吐き出せなかった「なにか」を腕から勢い良く溢れさせながら。
浴室の白い壁が、着ていた白いシャツが、彼岸花のような燃える赤に染まるのを見ながら。
無機質に僕の右手は、左の手首から針を引き抜いた。
by ryo-ta-n | 2008-08-19 17:11 | 雑記