無題

遠くで雷が光る
なにも見えなくなっていた夜に
ほんの一瞬だけ
隠れていた全てを呼び起こす
忘れていたこと全てを呼び覚ます

忘れようとして、忘れられず
捨てようとして、捨てきれず
それならばと文字にして夜毎沈めても
結局は、すぐそこ、胸の内に
形を、匂いを、温もりを変えずに
ただただあり続ける

夏が止まる
雨の中で全てを浮かび上がらせて
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# by ryo-ta-n | 2012-09-12 02:11 | 雑記  

無題


虚ろな昔に色めいた

牡丹
音もなく煙草の煙の中で開いた

松葉
闇の中で裸の僕を突き刺した


寄りかかれないくらいに不確かだった

散り菊
小さな熱い灯りが落ちた


線香花火が忘れられない

鬼火と罵られたとしても、愛おしい華
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# by ryo-ta-n | 2012-08-27 23:45 | 雑記  

無題

記憶の海を
懐かしさを載せた船が滑る

鏡のように凪いだ過去に送られ
次の海へと滑る

そっと背を押されて
振り向かなくても
そこにいてくれたことを感じながら

また一人きりの船が滑り始める
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# by ryo-ta-n | 2012-05-30 01:56  

無題

命の萌える春に、もしも寂しいと感じるのならば
それは、出会いの向こう側で別れる定めを薄々ながらに感じたのでしょう

桜の花弁の彼方に鼠色の雲が流れ
ひばりの唄のさざめきに雪解けの響が隠れ
目の前に差し出された手を握った手と反対の手で
握っていた手を離さなければならない

それが春

懐かしきが新しきの苗床になる季節
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# by ryo-ta-n | 2012-04-16 17:10 | 雑記  

無題

血肉が土に還るのならば
時の流れの中に魂は消えていきたい
誰にも思い出されることもなく
誰からも惜しまれることもなく

けれど、縁を結んでくれた人々と
命を包んでくれた景色を
わたしがなくなるまでは
惜しみ、感謝しながら
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# by ryo-ta-n | 2012-03-25 02:18 | 雑記  

無題

蝋梅密やかに香る夜
白に映えたる黄の花弁

大雪小雪峠を来せば
溶けて輝き朝を照らす

眼閉じればわびし冬は彼方に剥がれぬ
あらまほしき春の音は此方に聞こえぬ
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# by ryo-ta-n | 2012-03-01 19:15  

無題

知らない土地へ行き
知らない人と話す
知らない世界が拓けていく

知らない土地が懐かしくなり
知らない人が親しくなる
知らない世界から離れられなくなる

懐かしい土地に戻れなくなり
親しい人が遠ざかっていく
知ってしまった世界が冷たくなる

何で惜しかろうか
どうせ知らなかった世界だもの
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# by ryo-ta-n | 2012-02-15 03:06 | 雑記  

無題

雪が積もる

凍った心の上に積もる

形だけ残った記憶の上に積もる



真っ白な雪が降る

重く深い夜の中に降る

時の止まった心の中に降る



このまま降り続いて

せめて熱い涙がこぼれないように

今しばらくは、穢れのない白の下で眠らせて
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# by ryo-ta-n | 2012-01-24 04:31 | 雑記  

無題

嬉しいと感じる出来事がある度に

悲しいと感じる記憶の上に

ぼんやりとした時間が折り重なって

そもそも何があったのか

だんだんと分からなくなっていく





人は忘れるからこそ、次へと進んでいける生き物
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# by ryo-ta-n | 2012-01-13 04:11  

無題

今日が間引かれて、明日が育っていく

過去が間引かれて、未来が芽吹いていく

間引かれた時間は、想いを描くための苗床になる



どんなに大切に想った人も、場所も

昼と夜を繰り返すうちに静かに欠けていく



冬はいつも秋に輝いた命を迎え入れるための季節

冬はいつも春に歩き出す命を送り出すための季節

降り積もる雪は、全てを白く包んでいく



どんなに留めておきたかった足跡も、後姿も

音さえも飲み込む白に覆われていく



師走、大晦日、年の末

また一つ暦が千切られる

明日へと向かって
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# by ryo-ta-n | 2011-12-25 16:31 | 雑記