無題

あれはそう、昔の話
若い男が旅をして
出会ってしまった人にはもう
全てがそこに揃っていた

追いかけては消えていく
そんなことの繰り返し

けれど、全てはそこにある
そんなことの繰り返し



あれはそう、月のある朝
旅することが生きがいと
語る男は背を向けて
本当の言葉を押し殺す

追いかけては逃げていく
そんなことの繰り返し

けれど、全てはそこにある
そんな古い、昔の話



あれはそう、旅立ちの朝
黒い瞳のその奥に
自分の姿映しこみ
せめて寄り添うその間

追いかけては逃げていく
そんなことの繰り返し

けれど、全てはそこある
そんなことの繰り返し



あれはそう、何度目の夜
交わした約束胸に秘め
信じ続けてすり減った
私の旅はどこへ行く

追いかけては逃げていた
そんなことの繰り返し

けれど、全てはここにある
小さな時間の、記憶の話




あれはそう、昔の話
若い男が旅をして
出会ってしまった人には
全てがそこに揃っていた

追いかけては消えていた
そんなことの繰り返し

だから、全てはここにある
まだ見えない、これからの話
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# by ryo-ta-n | 2014-10-07 03:06 | 雑記  

無題

私は人々を観察し
生活を体験するために生まれてきたのであって
楽しむためではないのです。


全ての道に、灯火を。
全ての盃に、美酒を。
全ての心に、平穏を。
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# by ryo-ta-n | 2013-12-25 01:35  

無題

想い出が瞼の裏で狂い咲く

熱燗に絆された心の内が、湯気に紛れて昇る

人恋しいことも、愛されることも、全て捨ててしまえたつもりでいても

大雪の寒には、底冷えのする寂しさに襲われては

まだ固執していることに気が付かされる



熱燗はいつしか温燗に

酔いどれては、いつしか冬の深みへ

冬の底には、放り出した記憶が未だ静かに残る
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# by ryo-ta-n | 2013-12-09 23:08 | 雑記  

無題

悲しみはどこまでも巡り
幸せは巡らない

笑いはいつかは途絶えるのに
涙はいつまで経っても乾かない


私は独りのままでいい


私に一寸でも安寧をくれた人達の
隠しきれなかった全ての悲しみを
冥府の奥まで持っていくのだ


どうか笑い尽きるとも
涙は乾くように


彼岸には朱い花が咲き
花弁からは雫が幾筋も
黄泉から呼ばれて零れ落ちる
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# by ryo-ta-n | 2013-09-25 02:32 | 雑記  

無題

気づかぬうちに、私を刎ねて
瞬きのうちに、私を刎ねて
私が何かを感じる前に、私を刎ねて



忘れかけていた
忘れようと努めていた

でも、最後に手を振りあった場所で
イヤホンから静かで人恋しい曲が突然流れるものだから


私は互いの髪が真白くなるまで
傍にいたいと願っただけ


その願いが今、私の首を締め
心を刺している
繰り返し、何度も、何度も


私を刎ねて

知らないうちに、私の毎日から
あなたごと、私を消し去って

この頭が白くなるまで
きっと私はあなたを待ち続けてしまうから
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# by ryo-ta-n | 2013-08-11 01:05  

無題

三尺寝の蜃気楼の中で

あなたは私の前に現れた



柔らかなナイフで私を刺していく

優しい言葉で私を打ちのめしていく

抗う術を私は知らない






真白き入道が私の顔に雨粒を落としていく


近寄れば静寂の中で道を失い

遠ざかれば平穏の中で寂寞を募らせる



再び私そのものがいなかったことにして

あなたはいずこかへと消えてしまった

私の胸に上手に噛み痕を残して



桐の花から大粒の雫がこぼれる
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# by ryo-ta-n | 2013-07-27 14:11  

無題

七つ目の月の、七つ目の夕

影は夜とともに流れ行く



軟草の上に七つ、小桶を並べて

今宵、星の海へ流るる川を映す



空に存れば高く

水面に映れば懐かしく



三下がりの三味を爪弾いて

二つ上がりの調子外れの唄



闇は微睡み、かささぎが並び飛ぶ

会えなくなった片羽は、想いが丈にまかせて

此の岸辺から、彼の岸辺



虫の声音、夏の夜風、遠き鳴神

全てを背風に、私はあの日へ渡り行く
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# by ryo-ta-n | 2013-07-10 22:33  

無題

雨音に耳委ねて歩いて

背筋に入り込んだ雫に慄き

水煙が視界を奪う



歩を進めれば滑り、時に転び

誰かを求めれば雷が声を飲み込んで

気がつけば惨めな傷と後悔にまみれている




生きる事は選択の繰り返し

捨ててしまった可能性が

私の影となり、私を追いたてる




ただ、思う

雨のない道中など味気ない

後悔が身を削る人生こそ

生きてきた証なのだと
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# by ryo-ta-n | 2013-06-23 04:29  

無題

見上げればいつもそこにある


吸殻色の雲

砕けたガラスのような星屑

命の証をぶちまけたような暁

全てを隠す闇夜



全てが手が届きそうなのに

私の手はいつも何一つ掴めない



空から光が落ちてくる

空から雨が落ちてくる

私の眼から涙が落ちていく

私の口から本音が落ちていく



いつになっても、人恋しさだけは私を苦しめる
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# by ryo-ta-n | 2013-06-18 22:19 | 雑記  

無題

その線を跨ぐな

私は当事者になることを捨てた



あの気持ちを思い起こすな

私の本分は観測者なのだから



全ての見てきたことを焼き付け

全ての聞いてきたことを掴み

全てを記憶する



私は観測者

永遠の一人を受け入れた

人として大事なものを欠いた敗北者
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# by ryo-ta-n | 2013-06-17 21:32 | 雑記