カテゴリ:雑記( 244 )

 

無題

最終電車がホームを離れていく。
乗ればどこかに帰れたんだけど、僕は乗らなかった。

帰れる場所が、望む場所とは限らない。



シャッターの降りた駅の隅で、僕は手すりに腰掛けた。
深夜26時の街に雨が降り始める。

ネオンの下品な灯りすらも、愛おしい。



誰にも咎められやしないのに、灯りの下には誰もいない。
みんな、隠れるように闇の中に漂ってる。

朝が来たら、みんなどこに行くんだろう。



ギロチン台が咎人を迎え入れるように、
始発電車が近づいた駅のシャッターがゆっくりと上がり始めた。

次は、僕の番かもしれない。
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by ryo-ta-n | 2009-06-08 02:07 | 雑記  

無題

ぬばたまの夜、私は絶望の中で柔らかな風に撫でられた。

あと少しであらぬ夢の中へと消え入るところだった私を
風は一瞬だが、確かに私を気にかけた。

私は本当は一人で立てることを知りながら、
生きることに悪態をついて、立たずにいたことを、風は見抜いていた。

そんな稚拙な私は、今、相変わらずぬばたまの宵に背をもたれかけているものの
やっと自分の足で歩くようになった。

風は今、私とともにあり、私を密やかに支えていてくれる。
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by ryo-ta-n | 2009-05-26 00:43 | 雑記  

無題

納得という二文字をおざなりにしたまま、毎日は淡々と過ぎていく。

さりとて、もしも全ての時間に納得というものが付きまとうとすれば
毎日はおよそ険しく、誰もが人生というものに絶望してしまうだろう。

緩やかに紡がれる自らの思考が、茫漠とした世界の激流の中で
紡がれては千切れ、また紡がれては千切れ、いつまで経っても本来の姿を取り戻せない。

結局まとまらないままにある日ふと後ろを振り返ると、
等身大の空っぽの自分が、こちらを見つめ返している。

思わず立ちすくんでしまいそうになるのをこらえ、
何事もなかったかのように激流の中に身を投じることで
その時感じた絶望は、本当にあったものなのか分からなくなる。

そうして、また、僕らは歩き始める。


納得という二文字は、空っぽの自分の中に放棄したままで。
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by ryo-ta-n | 2009-04-19 22:13 | 雑記  

無題

死にたいと願った数秒後、世界はその想いすらも許さない。
あるいは世界が消えてしまえと願った数秒後、
今度は自らがその想いを許さない。

どちらが右で、どちらが左かも分からなくなった心で
何に触れ、何を理解し、一体何にすがることができるのか。


その答は季節の外れで砕けて、拾おうとした者の手を鈍く切り裂いた。
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by ryo-ta-n | 2009-04-08 07:33 | 雑記  

無題

いらついた線香花火が首からぽろりと投身する。
翼を切られたコウノトリが赤子を投げてよこす。
足の消えない幽霊が墓場まで自分で歩いていく。
全てを受け止めようとすればするほど、世の中は崩れていく。

客席に忍ばせていた狂気と、舞台に仕込んでおいた優越感で、
登場人物を奈落の底へと突き落とす。



次に舞台に立つのは誰?
次に屠られるのは誰?
次は、誰?
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by ryo-ta-n | 2009-04-03 18:49 | 雑記  

無題

孵らなかった想い、というのはあるのだろうか。
自分では気が付かなかった、自分の中で生まれたかったもの。
もしかしたら、殻を割ろうとしていたそれを知らないうちに暖め過ぎたのかも知れない。
あるいは、ひびまで入ったそれを直視はせずに凍えさせてやったのかも知れない。

その幾つもの屍骸の欠片が、毎日の中で仮面の下からぽろぽろと零れ落ちていくとしたら。

きっと仮面を剥いだ時の僕は、醜いのっぺらぼうみたいなもんだろう。
だから人は僕を見ようとしないのかもしれない。

巣立たせるということは、難しい。
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by ryo-ta-n | 2009-02-22 03:24 | 雑記  

無題

雪の夜。
街のあかりは、いつもの窓からは見えない。
舞い降りるものは白いはずなのに、どこまでも黒、黒、黒。

やめたらいい、苦しいことは。
白いものとて、黒く見える日もある。
嘘だと思って握り締めれば、溶けてしまって分からない。
思うようにいかない日とてある。

人情だとか、好意だとかに睨まれながら自分の影にしまいこんできたものは、
この黒の世界に放り出してしまえばいい。
走って、逃げ出して、振り返る頃には、
いつの話なのか、どこの話なのか、誰の話なのか、きっともう分からないから。

白くなるはずの、一面の黒い世界。
雪の夜、しんしんと全てを優しく押しつぶしていく。
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by ryo-ta-n | 2009-02-20 03:21 | 雑記  

無題

心、ここに在らず。

悩み、苦しむうちに、心は私が通れない幾つもの扉をその内に創り上げてしまった。

私の影は、それはもう能面のように表情が分からない。

あるいは、割れた能面なのかもしれない。

千切られたのか、砕かれたのか、溶かされたのか、もしかするとくっついたのか。

心、ここにあらず。

私、ここにあらず。
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by ryo-ta-n | 2009-01-30 21:28 | 雑記  

無題

「僕は、罪人なのでしょうか」

そう書いた手紙は出さないことにした。
手紙はすぐにこの両手に舞い戻るから。
目に見えて、そんなことは分かっているし、
そもそも自分がどういう人なのか、その答も分かっている。

「咎の送り先はどこなのでしょうか」




無言の海の中に、僕はその返答を探すことにした。
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by ryo-ta-n | 2009-01-22 22:24 | 雑記  

無題

自分という「なにか」から這うように伸ばしていた幾つもの物語が、
突然、その続きを描けなくなる。

無限の可能性は、限りない危うさを秘めていた。

あるいは、その物語は全てが演じられていたものだからこそ、
続きがなくなったのかもしれない。




ともあれ、最後に残った「なにか」こそが、
結局のところ、そういうことだったのだと思う。
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by ryo-ta-n | 2009-01-13 21:17 | 雑記