無題

触れれば切れるような寒い空気の中に、僕は思い出を閉じ込めた。

いつまでも続けばいいと思っていた時間の中で
何よりも愛おしいと感じた、ささいな出来事は
薄く延ばして気がつかないようにしてある。

本当は、気がつかないふりをしているだけなんだけれど。

平たく伸ばしててあるものだから、
見る角度によってはただの線でしか見えないし、
あるいは大きな一枚絵に見えることもある。

僕はその思い出にはもう触れたくないから
いつまでも線にしか見えない位置から動かないことにしている。

二度ともう戻らないものだけに、見れば見るほどに寂寥感が心を撫で回していくから。


冬は早く終わればいい。
でも、春は来ないで欲しい。

このまま全てが凍りついて、思い出が線のままであり続ければと思うから。
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by ryo-ta-n | 2007-12-22 01:35 | 雑記  

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