無題

声を限りにうたってみる。
悲痛な叫びと、歓喜の響きを織り込みながら、うたってみる。
どう考えても君まで、君の心まで、届かない歌をうたってみる。

記憶はいつまでも残酷なほど鮮明で、歌に命を吹き込む。
うたう程に喉は潰れて、深い闇が口から滲み始める。
今僕は、歌そのものになりつつある。

僕は歌うのを止めない。
思い通りのキーが出なくても、思うように形をなせなくても、
これが僕の、僕なりの、ただ一つの、本当の僕の映し方だから。

どこかでこの声を聴く人がいたら、思い出して欲しい。
器用に生きることができなくて、誰かを傷つけて、自分のことを愛せなかった男が、
それでも生きようと必死だったことを。
そしてできれば、この歌を自分なりにうたって欲しい。

その瞬間、僕はきっとまたこの世界を踏みしめることができるから。
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by ryo-ta-n | 2007-09-25 00:57 | 雑記  

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