人気ブログランキング | 話題のタグを見る

十年を経て

今の俺の心の内を聞いたら君はどう思うのだろうか。



今時そんなのはやらないと笑うだろうか。

それとも、この想いの強さに恐怖感を抱くだろうか。

あるいは、昔のように同じ気持ちになってくれるのだろうか。



あの頃はまだお互いに子供だった。
今から言えば「恋愛ごっこ」をしていたに過ぎないのだろう。
俺はまだ手もつなげないハナタレのガキンチョだったし、
君は周りに付き合ってることを打ち明けられないくらい恥ずかしがり屋だった。


そんな二人が始めて勇気を出した日を君は覚えているだろうか。
最初で最後の勇気を出した日を、覚えているだろうか。
人が立ち入れないビルの屋上になんとかして入り込んで別れ話をした、
その日を君は覚えているだろうか。
俺にとって、その場所は本当にお気に入りの場所で、
それまで誰一人としてそこに連れて来たことはなかった。
この二人が育ってきた街を、そして海のむこうまで見渡せる秘密の場所だった。
あの冬の夕暮れ、沈んでいく夕日を見ながらお互いのことを話していた。


高校の生活はどうだとか、バイトのセンパイがどうだとか、
なかなか二人とも話の核心に触れることができなくて。
でも、会っているのは日が沈むまでって約束をしたから、最後に俺は言ったんだ。



俺、いつまでも、ここでもう一度会えることを、
そしてその時は朝日を一緒に見ていられることを、
ずっと、ずっと、待っているから。



君は泣きながら俺の胸に飛び込んできた。











あれから長い長い年月が二人の人生で過ぎ、お互いに進む道も大きく異なった。
今日までの間に、何度か会ってはいるけれど、残念ながら
いつも会う場所はあの秘密の場所ではなかった。

それでも、俺は心の中でその約束を信じ続けているんだ。

本当は会う度に、その約束を覚えていてくれているか聞きたいのだけれど、
どうやら俺はあのときのハナタレのガキンチョのままらしい。





君への十年越しの想い。





君は、どう思うのだろうか。

by ryo-ta-n | 2006-06-20 01:49 | よもやま  

<< 心のカタチ 背中 >>