無題

夜の街に滴が落ちる
涙、雨、酒

やがては色を失い
音も失い
本当に存在したのかすら
確信が持てなくなる

全ては曖昧な記憶の中で
心に傷がつかないように
ゆっくりと角を落されていく

ある時は熟成と呼び
ある時は改竄と罵られ
ある時は欺瞞と嘆かれながら

滴の中に映り込んだものが
一体なんだったのか
短い人生の中で
理解なぞできるわけがない

ただその輪郭を
覚え、追い、触れようとする理不尽さは
有限な命への懸命な抗議のように思える


今夜も一日の全てを包み込んだ滴が
胸の奥でひっそりと、そしてはっきりと
落ちていく
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by ryo-ta-n | 2015-03-04 02:29 | 雑記  

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