無題

言いたかったことを言えずに時が過ぎ、
聞きたくなかった言葉を胸に抱きしめて時が過ぎる。

呼吸を整えて、荷物をまとめて、前へと一歩。
それでも、どうやったら後ろを振り返らずにいられるのか分からない。
暗くなったこの街から、あなたがいるだろう遠い場所を見れば、
暖かな日の光の名残が今日に別れを告げようとしている。

今でもあなたはあの光のよう。
優しくて、美しくて、どこか寂しくて、そして、手が届かない。


苦しみと悲しみが募るほどに、心は救いを求めてしまう。
依る岸辺がもうないことを知るほどに、貪婪に愛を求め溺れてしまう。
掴めるものが何もないことを感じるほどに、自分の心が何かに握りつぶされて粉々に割れていく。

それでも、あなたを忘れたくはない。
愚かと分かったところで、私が後ろを振り向く度に心は砕け落ちる。
茫漠とした痛みの中で、その欠片を拾い集めては何とか自分のカタチを取り戻し、
そしてまた歩こうとするのだけれど、やっぱり再び後ろを向いてしまって心は砕けていく。

記憶を辿ることでしか、会えなくなってしまったあなた。
息を呑んで、息を殺して、呼吸を整えて、もう二度と振り向かないように努力してみる。
それでも、気がつけば後ろを向いて、あなたが灯す明かりを探してしまう。

時が過ぎるほどに言いたかった言葉は、胸の内で出口を探して膨らみ続け、
抱え続けている聞きたくなかった言葉は、胸を更に掻き毟りたくなるような衝動で満たしていく。


どうすれば、記憶を残したままこの想いを忘れられるのだろう。
どうすれば、ここから自由になれるのだろう。
[PR]

by ryo-ta-n | 2011-02-25 03:41 | 雑記  

<< 無題 無題 >>