無題

暦は雨水に変わるのに、雪が降る。
しんしんと牡丹雪が降る。

白梅が首からぽろりと枝から離れて、雪の上に落ちた。
真白な雪の上にぽろりと落ちた。

散る暇は与えられない。
光に柔らかく映える機会も与えられない。

開きかけたのに、うまくその姿を終わらせることが出来ないままに、白い花片が雪に呑まれていく。
雪は否定する、まるで咲きかけたその姿など初めから存在しなかったかの如くに。

落梅は凍る寒さの中で土に還ることもできず、匂い立つこともできない。
いつまでも、雪の中で姿を変えられずに徒花として時間に舐められるがままにある。

花片はどこにあったのか、花片の他はだんだんと分からなくなってくる。
終わりを懇願しても、枝に戻ることを懇願しても
降り積もる雪音と、拡がりながら厚くなる白に全てがかき消されていく。

暦は雨水に変わるのに、雪が降る。
全てを真白に包んで、全てを否定して、牡丹雪が降る。
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by ryo-ta-n | 2011-02-12 04:06 | 雑記  

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