無題

うまく飛べない人間だと
自覚していたつもり

けれど、本当はうまく飛べないんじゃなくて
飛べない人間だった

その場で跳ねていただけの人間だと
気がついてしまった

よくつまずく人間だと
自覚していたつもり

けれど、本当はつまずいていたんじゃなくて
降りることのできない人間だった

一人舞い上がって高い所に登って
そのまま降りられないのだと

大して高くもないところ目指して跳ねて
大して高くもない所からずり落ちて
もがいているだけの
そんな人間
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# by ryo-ta-n | 2017-07-08 00:30  

無題

揺り起こさないで
眠らせた人懐かしさを

呼び覚まさないで
忘れかけた人の温もりを

掻き乱さないで
捨てきれなかった希望を


もし消えてしまったら
その時だけでいい
私だけを抱きしめて






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# by ryo-ta-n | 2016-11-09 07:13  

無題

本分を思い出せ
私は当事者ではなく、観測者

本懐を思い出せ
なにかを渇望するのではなく、全てを手放す世界

記憶と記録を頼りに
事実だけが交差する世界

安寧と、安息と、安堵を
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# by ryo-ta-n | 2016-10-27 19:04  

無題

ひりひりした不快感から逃れたくて
早く、一日でも早く
全てを一人で決められるように
強さを求めていた

今や、不快感は消えて
求めた以上の強さに
途方のない寂しさを
突きつけられて過ごす

今になって気がつく
あの梅雨のような不快感とは
可能性が詰まった
恵みの時期だったのだと

花を咲かせるために
双葉を捨て
花を散らして
実を結び
そして土へと還り
私達は安寧に抱かれる
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# by ryo-ta-n | 2016-10-02 20:32  

無題

霙に打たれた衣服が重くなり
霧に飲まれた心が薄れていく


死にかけた病人からは、強い命の臭いがして
私の白い服からは、誰かの死の臭いが取れない


幸せを探そうとかざした磁石には
真っ黒な砂鉄がまみれて離れない


溶ける雪が、掌に残した冷たさでその存在を遺していくように
消え行く私も、然にありたい

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# by ryo-ta-n | 2015-12-09 05:46  

無題

燗酒をつけつつ、ちびりちびり
あなたの影を思い出しては、あの時
どんなに夢見心地だったかを思い出す

燗酒を干しつつ、ぐいぐい
あなたの言葉を思い出しては、あの時
どんなに想っていたのかを思い出す

燗酒が冷めて、ほろりほろり
今もあなたと触れながら、この時
愚かな自分をそっと苦笑う

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# by ryo-ta-n | 2015-11-29 19:11 | 雑記  

無題

もうすぐ、夜が明ける

山の端が朱に輝く

東を向いて歩き始める時間が来た



まだ、夜が残る

沖は鈍く紫に煙る

西には抗い難い夢が残る



宵に見始めた夢は、捨てきれないまま毎日過ぎていく
白昼夢こそ見なくなったけれど
未練はそこかしこ
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# by ryo-ta-n | 2015-06-01 04:51 | 雑記  

無題

少ないから弱いとは限らない

多いから正しいとは限らない

誰かの思想や欲望で私を縛るな



大勢のために、誰か一人の命の在り方を決めつける



あらゆる所で嘘をつかせて
違和感に溢れた毎日を
死ぬまで送る


そういう自分で自身を苛ませるような在り方を強要するならば
私は、私の命は、幾度でも牙を剥いて、爪を立てて、挑み続けてやる
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# by ryo-ta-n | 2015-04-02 03:32 | 雑記  

無題

夜の街に滴が落ちる
涙、雨、酒

やがては色を失い
音も失い
本当に存在したのかすら
確信が持てなくなる

全ては曖昧な記憶の中で
心に傷がつかないように
ゆっくりと角を落されていく

ある時は熟成と呼び
ある時は改竄と罵られ
ある時は欺瞞と嘆かれながら

滴の中に映り込んだものが
一体なんだったのか
短い人生の中で
理解なぞできるわけがない

ただその輪郭を
覚え、追い、触れようとする理不尽さは
有限な命への懸命な抗議のように思える


今夜も一日の全てを包み込んだ滴が
胸の奥でひっそりと、そしてはっきりと
落ちていく
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# by ryo-ta-n | 2015-03-04 02:29 | 雑記  

無題

あれはそう、昔の話
若い男が旅をして
出会ってしまった人にはもう
全てがそこに揃っていた

追いかけては消えていく
そんなことの繰り返し

けれど、全てはそこにある
そんなことの繰り返し



あれはそう、月のある朝
旅することが生きがいと
語る男は背を向けて
本当の言葉を押し殺す

追いかけては逃げていく
そんなことの繰り返し

けれど、全てはそこにある
そんな古い、昔の話



あれはそう、旅立ちの朝
黒い瞳のその奥に
自分の姿映しこみ
せめて寄り添うその間

追いかけては逃げていく
そんなことの繰り返し

けれど、全てはそこある
そんなことの繰り返し



あれはそう、何度目の夜
交わした約束胸に秘め
信じ続けてすり減った
私の旅はどこへ行く

追いかけては逃げていた
そんなことの繰り返し

けれど、全てはここにある
小さな時間の、記憶の話




あれはそう、昔の話
若い男が旅をして
出会ってしまった人には
全てがそこに揃っていた

追いかけては消えていた
そんなことの繰り返し

だから、全てはここにある
まだ見えない、これからの話
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# by ryo-ta-n | 2014-10-07 03:06 | 雑記